栗山英樹監督の凄さがわかる名言・語録集!「理想の上司」の育てる力やリーダー論とは?
かつてプロ野球にはドラフトにかからなかった選手たちが、球団のテストを受け、合格ならばドラフト外入団するという選択肢がありました。ドラフトを回避して裏技的にドラフト外で入団する選手もいたため、現在は廃止されましたが、西本聖、大野豊、島田誠、平野謙、長嶋清幸など、ほとんど無名選手から名を上げた選手もいました。栗山英樹もそんな選手でした。
東京学芸大学という野球では馴染みのない国立大学を卒業し、一時はレギュラーポジションを獲得するところまで行きましたが、メニエール病のためにわずか7年で引退。その後はキャスターや大学教授にまでなり、国立大学出身の大学教授という異色の肩書を持ちながら、北海道日本ハムファイターズの監督に就任しました。
コーチ経験もない一年目の監督としてリーグ優勝を果たし、2018年までの7シーズンで日本一1回、リーグ優勝2回、Aクラスが5回と安定した成績を残しました。ファイターズからはダルビッシュ有や大谷翔平らのメジャーリーガーを輩出していますが、彼らが退団してもなお、チームは常にリーグ上位を維持し続けています。
今回は各種の「理想の上司」ランキングで、上位に選ばれる栗山英樹監督の凄さがわかる名言や語録から、「理想の上司」の育てる力やリーダー論に迫ります。
栗山英樹について
まずは栗山英樹の経歴を追ってみます。
1961年4月26日生まれ、東京都小平市出身。創価高校から東京学芸大学に進学。学芸大だけに当初は教員志望でしたが、大学時代の手ごたえからヤクルトスワローズの入団テストを受けて合格。ドラフト外で入団しました。
プロ2年目のオフには若松勉コーチからスイッチヒッター転向の打診を受け、翌年にはレギュラーを奪取。めまいなどを生じるメニエール病と戦いながら、1989年にはゴールデングラブ賞も獲得します。
しかし病気のために万全の努力ができないことから、1990年シーズンを最後に引退。
現役7年間で通算336安打、打率.279でしたが、常に全力プレーをする選手として印象に残りました。
引退後、スポーツキャスターとして活躍し、大学でも教鞭を取り始め、白鴎大学教授にまでなり、2011年11月に北海道日本ハムファイターズの監督に就任。一年目にエースのダルビッシュ有が抜けた穴をものともせずリーグ優勝。
その後も、6位、3位、2位と安定した成績を残し、2016年にはリーグ優勝して日本一に輝いています。
私が選ぶ、栗山英樹の凄さがわかる名言・語録集
【名言・語録その1】
「今年ダメだったらユニフォームを脱がすよ」
もうひとつ力を出しきれていなかった吉川光夫に、栗山はそう言って奮起を促したそうです。
「誰よりも僕が吉川の力にほれ込んでいましたから」
平気でそういうことを付け加えられるところが、栗山の人柄でしょうか。代わりに吉川を一年間先発ローテーションから外しませんでした。
「それなりの場を与えて、言い訳ををさせないようにしないとダメ」
栗山は厳しさと優しさの使い分けが巧みだといえます。
以下は2015年の前半戦、結果が出ずに苦しんでいた助っ人のレアードにかけた言葉です。
「お前が打てることはわかっている。僕らはその力を信じているので、自身を持って、めげずにやってほしい」
レアードはそれで奮起し活躍しました。
「プロにいる選手はそれなりに力があるからスカウトの目に留まった。少し発想を変えることで選手は大きく変化する。色メガネで見るのは嫌いなんだ」
そんな栗山だからこそ、大谷翔平の二刀流をうまく引き出し、中田翔を主軸として育て、ジャイアンツで芽が出なかった太田泰示の覚醒を促せたのかもしれません。
【名言・語録その2】
「幸せになるってことは才能に頼ることじゃない。苦しむからこそ知恵が生まれるし、努力ができる」
栗山は監督になり「才能より大事なことがいっぱいある」と気づいたそうです。「ひとりひとりの選手の5年後、10年後を見据えた」指導を心がけているそうです。
そのために、たとえば移動日の練習は選手自身が判断し、やっても休んでも構わないことにしています。とにかく試合で最高のパフォーマンスを出せる状態を考えさせることが、栗山の目的です。
自己管理能力はスポーツ選手に限らず、社会人として、あるいは大人として重要なマネージメント力ですから、それを育てることが選手としても人間としても成長できると考えているのでしょう。
一見するとただ優しく穏やかに見える栗山ですが、スワローズで監督として関わった関根潤三は、「いい度胸してるんだ。したたかというか、したたかささえみせないところが曲者」と評しています。
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また「外面は菩薩、内面は夜叉」だと言い「選手はあの外面に騙されてナメた真似をしたら大変だぞ。栗山は本当に周りをよく見ているから、表立って怒ることはないかもしれないけど、采配とか起用法に表れてくるよ」と語っています。
試合が延長に突入した場合、そのポジションを守れる選手がいなくなっても、平気で代打を出すことがある栗山の内面が、関根の言葉から見えてくる気がします。
監督就任の際に「根本陸夫になりませんか」と口説かれて決断し、背番号80は三原マジックといわれた三原脩にあやかったという栗山だけに、根本流の人の育て方と、三原の選手の育て方を受け継ごうとしているのかもしれません。
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【名言・語録その3】
「野球の神様って、育ってきた環境が心の中に生み出すものなんだと思う」
栗山は大谷翔平という稀有な才能に出会い、そんなことを言っています。
「僕は翔平をそんなに甘く見てないよ。アイツなら進化してくれる。僕の想像をはるかに越えてくれる」
大谷の衝撃は、メジャーリーグに新ルールで二刀流選手の登録定義を加えさせるなど、多くの想像を越えるものになっています。
栗山の言う環境というのは、子どもの頃の環境というだけでなく、現在の環境も含めてのことです。
「前のバッターの打ち方がいいと、投げている方は次のバッターにも怖さを感じてしまう。打線のつながりって、そういうところから生まれてくるんだよね」
そういうチームの流れもまた環境です。
「いい流れを引き寄せられるなら何でもしようと思っている」と断言する栗山だけに、いろいろ学び、努力してきたものすべての環境が、いい流れを作りだし、気まぐれな野球の神様を振り向かせる、ということなのでしょう。
名言からの学び
・飴と鞭を振るうには、まずそれなりの場を与えなければならない。
・人間として、プレーヤーとして、5年後、10年後を考えた指導をする。
・良い環境作りが、成果と運をもたらす。
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